8/13/2017

生き物は銀河と同じくらい大きくなることはできるのか?

Nautilusより。「宇宙のエンドゲーム」の著者グレゴリー・ラフリンのエッセイ。

生命体はなぜ我々が地球上で見るサイズに制限されているのか。

我々の宇宙のモノの大きさは、クォークの相互作用を特徴付ける小さな10-19メートルのスケールから宇宙の水平線の1026メートルまでずっと走り続ける。これらの45桁の可能なオーダで、我々が知る範囲で生命はほぼ9桁のオーダの比較的小さい範囲、おおよそ宇宙のレンジの真ん中あたりに縛られている: バクテリアやウィルスはミクロン、10-6メートルより小さく、最大の樹木の高さは約100メートルに達する。オレゴン州のブルー・マウンテンに住んでいるナラタケ属(honey fungus)は、単一の生命体でほぼ間違いなく約4キロメートルを超える。既知の知覚できる生命になると、規模のレンジは約3桁のオーダーでさらに小さくなる。

生物に何か違いがあるのか?

計算理論の進歩は、知覚と知能が原始的な回路の要素1000兆(1015)個を必要とする可能性が高いことを示唆している。我々の脳はニューロンで構成されていると考えれば、それ自体が本質的に特殊な協調的な単細胞生物であることから、バイオコンピュータは我々が持っている能力を発揮するためにはおよそ我々の脳の物理的サイズでなければならないと結論づけることができる。

我々は人工知能システムにおいて、我々自身より小さいニューロンを作ると想像できる。例えば、電子回路素子は現在、ニューロンよりも大幅に小さい。しかし、それらはその挙動がより単純であり、かなりの量を占める支持の超構造(エネルギー、冷却、相互通信)を必要とする。基本的に異なる材料やアーキテクチャに基づいているにも関わらず、最初の真の人工知能は我々自身の体の大きさとあまり変わらない容積を占めている可能性があり、やはりメートルのスケールについて何か特別なものがあることを示唆している。

我々の脳とニューロンの両方が10倍の大きさなら、我々の生存期間中の思考は10倍少なくなる。

その対極にある超大型についてはどうだろう? ウィリアム・S・バロウズの小説「爆発した切符」では、惑星表面の真下には"結晶の低形成の中で絶対ゼロの思考に近い広大な鉱物意識"が横たわっていると想像した。天文学者のフレッド・ホイルは、地球と太陽の距離に匹敵する超知性「ブラック・クラウド」を劇的かつ説得力のある形で描いた。彼のアイデアは、恒星を完全に取り囲む巨大な構造物で星の大部分のエネルギーを独占するダイソン球という概念を前提にしていた。私の同僚のフレッド・アダムスと私が行っている計算によっても立証され、それは現在の銀河における最も効率的な情報処理構造が赤色巨星の死によって吐き出された煤煙の中で触媒作用を起こすかも知れないことを示している。数十万年の間、塵で覆われた(dust-shrouded)赤色巨星は十分なエネルギー、十分に大きいエントロピー勾配、10億個の地球に似た惑星の生物圏を潜在的に打ち破る十分な原材料を提供する。

このような生活様式はどのくらいの大きさになるのか? 興味深い考察は複雑な脳だけでなく、体系化の時間が十分に必要である。神経伝達の速度は時速約300キロメートルで、人間の脳における信号横断時間は約1ミリ秒であることを示している。人間の一生で、2兆のメッセージ横断時間から成っている(そして、各横断時間は豊富で大規模な並列計算構造によって効果的に増幅される)。もし、我々の脳とニューロンの両方が10倍大きく、我々の寿命と神経伝達速度が変わらないなら、我々の寿命の間の思考は10倍少なくなるだろう。

言うまでもなく我々の脳は大きく成長し、太陽系の大きさと光速信号を特徴とするなら、同じ数のメッセージ横断が宇宙の現在の年齢全体より多くを必要とし、そのコースに進むための進化の時間が残っていない。脳が銀河ほど大きければ、問題はさらに深刻になるだろう。その形成の瞬間から、銀河の片側から別の側に伝わる1万またはそれ以上のメッセージの時間があるとする。恒星の大きさよりも大きなスケールを占める人間の脳に匹敵する複雑さを持つ生物のような存在を想像するのは難しいと主張できる。それらが存在するか、それらはまだ実際に何かをする十分な時間はなかっただろう。

注目すべきことに、物理的な身体の環境の制約は、知性が求めるのとほぼ同じ大きさにに生命体を制約する。最も高いセコイアの高さは、地球上の重力、水分の蒸発、水分の粘着性、(押し上げる)植物の導管の中の表面張力の組み合わせてによって設定される限界である1。最も居住可能な惑星の重力と大気圧が地球の10分の1の範囲内にあると仮定すると、我々は同じ最大限度の数桁内にとどまるだろう。

ほとんどの生命体は惑星、月、小惑星に制約されると仮定すれば、重力も自然なスケールとなる。惑星が大きくなり、その重力が強まるにつれ、いくつかの仮説的動物の骨の力(あるいはそれと同等のもの)が増加する。 クリスティアーン・ホイヘンスによって1600年代後半のはるか昔に論じられた。したがって、その動物は、動物の大きさの2乗で増加する大きな力に対処するには、骨の断面を大きくする必要がある。しかし、これらのボディ構築の効果は、体の大きさが立方になるにつれて体重が増えるために、最終的には自滅するだろう。一般に、移動性陸生生物の最大重量は、重力の強度の増加に伴いほぼ直線的に減少する。逆に言えば、地球の10倍の重力を持つ惑星は潜在的に10倍の大きさの動物が存在する可能性がある。

しかし、地球がどのくらい小さくできるかには限界がある。小さ過ぎれば(地球の質量の約10分の1よりも小さい)、重力的に大気をとどめ続けることができない。やはりこの場合も、我々は地球上で見るサイズの10倍程度に制限される。

生命も冷却が必要である。コンピュータチップの設計者は、計算によって発生する熱を除去する生来の課題に絶えず直面している。生物も同じ問題を抱えている: 大きな動物は、表面積つまり皮膚に対する体積の割合が高い。皮膚は動物を冷却する役割を果たしており、その体積は全ての熱が生成される場所であるため、大きな動物ほど自分自身を冷却する効率があまり高く無い。マックス・クライバーが1930年代に最初に指摘したように、地球の動物のキログラムあたりの代謝率は、動物の体重に比例し、0.252の累乗に比例して減少する。実際、この加熱率が低下しなければ、大型動物は文字通り自分自身を調理してしまうだろう(Aatish BatiaとRobert Krulwichによって最近鮮やかに描かれている)。哺乳動物が機能するためには3、最小でナノグラムあたりの1兆分の1ワットの全身代謝率が必要であると仮定する。そして、我々は最大100万キログラムか、地球の歴史上最大の動物シロナガスクジラよりも幾分大きな動物の大きさに熱的に上限が制限される。

原理上は、はるかに大きい生き物を想像することはできる。わわれが計算のために最小エネルギーで記述しているランダウアーの原理を引き出し、超大規模で極度に怠惰な多細胞生物のエネルギー資源がその細胞をゆっくりと再生だけに費やされていると仮定すれば、メカニカルの支持の問題は成長の究極の制限要因として熱輸送を上回ることを我々は発見した。しかし、これらのスケールでは、そのような生き物が何をするのか、それがどのように進化するのかは不明である。

古典的なチャールズとレイ・イームズの短編映画「Powers of Ten」は約40年前に作られたものだが、その影響力は奥深かった。例えば、科学カリキュラムの標準的な側面として、大きさの見積もりにつなげることができ、Google Earthなどのソフトウェア・マッピング・アプリケーションの設計に直接影響を与えている。

「Powers of Ten」の影響は、inward sweep(視聴者は観客がシカゴの湖畔のピクニックから準核スケールに向かって内側に向けて降下する)の語り口とoutward sweep(視聴者は、地球とその内部が大規模宇宙に動き出すよう急速に消えていく)の弧との間は驚くべき対称性によって高められている。

我々は、両方向にスイープアウトできること、大小の宇宙のスケールを調べることができることを知覚できる存在としてまさに幸運なのだろうか? おそらく違うだろう。

グレゴリー・ラフリンは、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の天文学と天体物理学の教授である。彼は「宇宙のエンドゲーム 誕生(ビックバン)から終焉(ヒートデス)までの銀河の歴史」の共著者で、oklo.orgでブログを開設している。

参考文献

  1. Koch, G.W., Sillett, S.C., Jennings, G.M., & Davis, S.D. The limits to tree height. Nature 428, 851-854 (2004).
  2. Kleiber, M. Body size and metabolism. Hilgardia: A Journal of Agricultural Science 6, 315-353 (1932).
  3. West, G.B., Woodruff, W.H., & Brown, J.H. Allometric scaling of metabolic rate from molecules and mitochondria to cells and mammals. Proceedings of the National Academy of Sciences 99, 2473-2478 (2002).

この記事は最初2016年3月に発行された"Adaptation"で公開された。

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