7/14/2017

インターネット・スタートアップの終焉

Voxの記事より。

シリコンバレーは、ガレージや寮の部屋で二人の男が世界を変える企業を立ち上げる場所になっていなければならない。1970年代はAppleとマイクロソフト、1980年代はAOL、1990年代はアマゾン、Yahoo、グーグル、2000年代にはFacebookが立ち上がった。

しかし、2010年代はスタートアップ不足に苦しんでいるように思える。もちろん、人々はまだスタートアップを始めている。しかし、最後の真に大きなテクノロジー系スタートアップの成功者であるFacebookは13年前である。

昨年まで、ウーバーはシリコンバレーの最新のテクノロジー大手になるように思えた。しかし、今ウーバーのCEOは不評を買って辞任し、会社の将来は不確かである。過去10年以内に立ち上がったテクノロジー企業は、同一レベルであるように思えない。ウーバー後で最も価値あるアメリカのテクノロジー系新興企業であるAirbnbは、Facebookの価値の約7パーセントの310億ドルの価値がある。Snap、Square、Slackのような他の企業は、それほどの価値はない。

一体何が起こったのか? 最近、シリコンバレーに行った時、私は数人の技術幹部とスタートアップ投資家にその疑問をぶつけてみた。

シリコンバレー企業ソーシャル・キャピタルの投資家Jay Zaveri氏は、「90年代のグーグルとアマゾンのような企業を見ると、初めてポルトガルから出港するコロンブスとヴァスコ・ダ・ガマのような気がする。」と語った。

初期のインターネットのパイオニアは、簡単に手に入る果実を手に入れたと、Zaveriは、検索、ソーシャルネットワーク、電子商取引のような儲かる新産業を占有できたと考える。PinterestやBlue Apronのような後発組がやってくる頃には、選択は少なくなっていた。

しかし、他の人は、それ以上の話があると私に言った。今日の技術系大手は、優位性に対する脅威を予測することと、それを回避することについて、ずっと多くの知識を持っている。彼らは積極的に新しい市場に進出し、潜在的なライバルを彼らがまだ相対的に小さいうちに獲得することでそれを達成した。また、一部の評論家は、彼らがインターネットのインフラの主要部分を制御し、ロックダウンして、初期のインターネット企業が大衆市場に到達するための道を閉ざすのがうまくなっていると言う。

その結果、かつてはチャーンで有名だった業界は、ますます安全になっている業界の頂点に座る一握りの大企業によって支配され、従来型の寡占のように見え始めている。

技術系大手企業は早くから頻繁に買収する

シリコンバレーの誰もが、DEC(ディジタル・イクイップメント・コーポレーション)、Sunマイクロシステムズ、AOL、Yahooのようなかつての大企業が大きな技術イノベーションで倒産したという話を知っている。ベンチャー投資家のフィン・バーンズ氏は私に、今日の技術系大手は彼らの間違いを慎重に研究し、過ちを繰り返さないことに決心していると言った。

バーンズ氏は私に、Facebook、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどの今日の技術系大手の経営陣は、存在するリスクをよくよく理解していると語った。

Facebookの場合、最初の大きな試練はスマートフォンの導入時にやって来た。Facebookはデスクトップのウェブサイトとしてスタートし、モバイルデバイスへの移行により、Yahooのように油断したことを簡単に理解した。しかも、ザッカーバーグはタッチ画面のモバイルデバイスの重要性を認識し、会社全体でモバイルアプリの作成を最優先するようエンジニアに強く求めた

ザッカーバーグはまた、湯水のように金を使って、モバイルデバイスで大勢の支持者を作り出すような企業に飛び付いた。2012年、彼は従業員がわずかしかいないInstagramを10億ドルで買収した。2年後、彼はメッセージング・スタートアップのWhatsAppを190億ドルで買収した。

ザッカーバーグは、グーグルが開発したモデルに従っていた。2006年に、グーグルは当時インターネットで最も人気のある宛先の一つに成長していたYouTubeというサイトに16億5千万ドルを支払った。最も重要なことは、グーグルは2005年にAndroidと呼ばれるあまり知られていないモバイル・ソフトウェア会社を買収し、グーグルの結果としてスマートフォン・オペレーティング・システムの支配の基礎を築いた。

これらの買収は非常に重要であることが判明した。1つのランキングは、WhatsAppとYouTubeをFacebook後のインターネットのトップ・ソーシャルネットワークであることを示している。中国サイトを除き、Instagramはリストの次にある。これらの企業が独立して入れば、彼らは容易にグーグルやFacebookの主要な競合企業として浮かび上がった可能性がある。代わりに、彼らはグーグルとFacebookの帝国のもう一つのピースになった。

アマゾンも同様の戦略を追求している。2009年にオンライン・シューズ・ショップのZapposを買収し、次の年にはDiapers.comと呼ばれる新米の両親のための人気サイトの背後にある企業Quidsiを買収した。

独立したままのテック企業は厳しい競争に直面する

技術系スタートアップの全てが巨人の買収提案を受け入れるわけではない。例えば、SnapchatのCEO、エヴァン・シュピーゲルは2013年にマーク・ザッカーバーグからの30億ドルの買収提案をはねつけ、2017年に彼は会社をSnapに改名した。

Facebookは、多くのSnapchatの機能を独自バージョンで構築することで応えて来た。Facebookが所有しているInstagramは、昨年Snapchatの人気ストーリー昨日の独自バージョンを発表し、6ヶ月でInstgramのストーリーはSnapchat自体よりもデイリー・ユーザ数が多くなっている。

Instagramはまた、おふざけのウサギ耳や犬耳のセルフィーを撮ることができるSnapchatのレンズの独自バージョンを発表した。Instagramとの競争の懸念からSnapの株価は値下げ圧力を受けている。

YelpのCEO、ジェレミー・ストッペルマンは、グーグルとYahooの買収提案を拒否し、2012年に同社を一般公開した。グーグルは独自のローカル・レビュー・サービスを開発して対応した。そして、ストッペルマンの見解では、グーグルは検索市場での優位性を利用して、ローカル・レビュー・サービスに不利益を与えた。

「グーグルが流通で圧力を一層加え始め、有機的な検索結果を隠し始めた。」ストッペルマンは6月のインタビューで私に語った。Yelpのページはグーグル検索結果でさらに下がるようになり始め、Yelpは新しいユーザを惹きつけるのが難しくなった。Yelpは既にbぢ国で成功するには十分な人気があったが、ストッペルマンはグーグルの戦略がYelpの海外展開の妨げになっていると主張している。

そして、激しい競争の脅威は、独立系新興企業を既存大手に売却するための強い誘因となり得る。Diapers.comの背後の会社Quidsiは、当初アマゾンの申し出を拒否した。アマゾンは彼らのオムツ価格を下げることによって対応した。

ビジネスウィークのブラッド・ストーンは次のように書いている。「一時、Quidsiの役員はプロクター・アンド・ギャンブルの卸売価格を考慮した送料率について知っていたが、アマゾンはオムツのカテゴリだけで3ヶ月以上1億ドルを失うことになった。」ベンチャー投資家に支えられていたスタートアップとして、Quidsiはこうした損失を持ちこたえることができなかった。そして、同社は2010年にアマゾンに売却して整理した。

現代の消費者向け技術系スタートアップは巨額の活動資金が必要

Yahoo、eBay、グーグル、Facebookのような伝統的なインターネット・スタートアップは控え目な金額で立ち上げ、数年以内に採算性を達成できた。

「一般の人が会社を作るという重圧は、アイデアで遊ぶ程度の軽さに取って代わられたため、マーク・ザッカーバーグはFacebookに大きなアドバンテージをもたらした。」とFloodgate社で投資家のマイク・メイプル氏は語った。

ザッカーバーグが2004年にFacebookを設立する時まで、何百万人もユーザがいるようなウェブサイトを運営するのにも費用が掛からなくなった。だから、ザッカーバーグはすぐに採算性を達成することができたし、Facebookが成長し続け、サイトは大規模な利益を上げ、買収や新しい取り組みに多額の資金を投入できる。

しかし、最近は違って来ている。

投資家は、有力なテクノロジー企業の収益性がどのようになっているかを完全に理解しているので、スタートアップが市場を支配することを確かにするには、ますます多くのリソースを投入する意思がある。そして、皮肉なことに、誰にとっても収益性を達成することがより難しくなった。

これは、ウーバーやリフトが数百万ドルの価格競争を繰り広げ、ウーバーの数十億ドルとそのより小さなライバルが数億ドルを費やしたライドシェア市場の状況である。同じような動きが、企業が顧客を引き付けるために何百万ドルも費やしたフード・デリバリーのような市場でも現れている。

第二の変化: 既存のテクノロジー企業は、スタートアップがユーザにリーチするために使用するプラットフォームをますますコントロールしている。

「Facebookは『あなたのメールアドレスを教えて下さい、そして私はあなたの友人をFacebookに招待する電子メールを送信します』という言うことで成長したのです。」YelpのStoppelmanは私に語った。「Facebookは、それを自分のプラットフォーム上で許しているのですか? まさか! 彼らは『インストールで4ドル払うと、一度に一人のユーザを得て、その過程でたくさんのお金を稼ぐのに役立つだろう』と言うよ。」

そのため、オンラインサービスを構築する技術コストはこれまで以上に安くなっているが、企業は潜在的ユーザの前にアプリいやサービスを利用するための広告に何百万ドルも費やすことが一般的になった。そして、そのお金の大部分がグーグルやFacebookに流れているのだ。

イノベーションの質が変化している

これらの評論には何かがあるが、それらを誇張しないことも重要である。今のスタートアップが直面するすべての課題に対して、真に革新的な大衆市場向け製品を持つスタートアップが顧客にリーチする方法を見つけることはまず間違いないからである。結局のところ、簡単に手に入る果実(low-hanging fruit)仮説には多くのメリットがあると私は考える: 大規模で儲かるオンライン・サービスを構築する機会は限られているため、大きな新しいインターネット企業は出ないだろう。

数ヶ月前、インターネットは高価なジュース圧搾機を販売したスタートアップ、Juiceroの費用で多くの楽しみを抱いた。超富裕層のためのこの主のガジェットが資金調達をしているという事実は、投資家は大衆市場にアピールする製品を開発するために奮闘しているという兆候のように思われる。

Juiceroは極端な例だった。しかし、Snap、Square、Pinterestのような多くの主流製品を持つ最近のインターネット・スタートアップでさえ、早期のApple、アマゾン、グーグルと同じような革新性はないようだ。

この種のことはかつて起こったことである。1950年代、1960年代、1970年代には、半導体製造のイノベーションが爆発的に起こった。しかし、最終的に市場は落ち着き、インテル、サムスン、クアルコムのような一握りの大企業が市場を占有した。シリコンバレーのイノベーションは止まらなかった。それは単にシリコンチップ以外のもに移動した。

1980年代に、マイクロソフト、アドビ、Intuitのような素晴らしい企業がPC用のソフトウェアを作るために設立された。これらの企業は、インテルがそうだったように、多くの資金を調達しているが、今日のデスクトップPCソフトウェアのスタートアップの余地は多くはない。

我々は、アプリやオンライン・サービスと同じような位置に到達しているのかも知れない。ウェブ・ブラウザやスマートフォンでできることは限られた数であり、もしかしたら、グーグル、Facebook、Snapなどの企業がすでに最も重要なマーケットをロックダウンしているかも知れない。

もちろん、それはシリコンバレーのイノベーションが止まることを意味しない。しかし、過去20年間に見たイノベーションとは大きく異なるかも知れない。

例えば、テスラを例にとる。色々な意味で、古典的なシリコンバレー企業である。パロアルトに拠点を置いており、タッチスクリーン・インタフェースから自動運転ソフトウェアまで、すべてを大勢の従業員プログラマがデザインしている。

しかし、その他の点では、テスラはシリコンバレーの基準から逸脱している。Appleは中国でiPhoneを製造しているが、テスラはカリフォルニアのフリーモントにある自動車工場を運営している。ウーバーとAirbnbが自身で自動車や家を持つことを避けたのに対し、テスラはバッテリー工場に何十億ドルも使った。

だから、グーグル、Facebook、アマゾンなどの既存大手がオンライン・サービスの市場を支配し続けるにしても、幅広い技術イノベーションのリーダーにとどまることを意味しない。むしろ、イノベーションはスマートフォンのアプリではなく、例えば電気自動車、配送ドローンを目指し、劇的に異なる方向にシフトするかも知れない。我々は、互いに置き換え可能としてシリコンバレー、インターネット、イノベーションを考えることに慣れているが、次のイノベーションの波は、以前のものとは全く異なるのかも知れない。

開示: 私のグーグルで働いている。

Hacker News