6/24/2017

なぜ、インターネットはそんなに遅いのか?

RIPE Labsより

Mirjam Kühne

Ilker Nadi Bozkurt氏と彼の同僚は、インターネットは可能なものよりはるかに遅い事を発見した。彼らはこの減速の源がどこか、それについて何ができるか知りたいと考えた。

レイテンシ(遅延)は多くのインターネット・アプリケーションにとって体験の質を決定づける重要な要素である。GoogleとBingは、検索結果を配信する際に、数百ミリ秒の遅延が発生すると、検索量が大幅に減り、収益が大幅に減少すると報告している。オンラインゲームでは、数十ミリ秒で大きな違いが生まれ、ゲーム会社はレイテンシを縮めることに対して、特別なネットワークを構築している。

それにも関わらず、レイテンシを短縮する現在の努力は、真空中の光の速度によって決定づけられる下限にはるかに及ばない[1]。インターネットが光の速度で動作したらどうなるだろうか? 現時点でその目標に向け、技術的課題と設計コストを無視して、その影響(implications)を簡単に考えてみよう。

光速インターネットは、ウェブ閲覧やゲームだけでなく様々な形の"テレイマージョン"も劇的に強化するだけでなく、潜在的に新しいクリエイティブなアプリケーションに道を開く可能性がある。このように、我々は今日観測する典型的なレイテンシと理論的に達成可能なレイテンシの間のギャップを理解し、定量化する事を目指している。

我々の最大の一連の測定は、一般的なウェブサーバとPlanetLabノード間で実行された。これは世界中の一般的にうまく繋がった学術研究機関のマシンである[2]。我々は、測定されたレイテンシをC-レイテンシの加減に対して評価をした。すなわち、2つのエンドポイント間の測定値距離を真空中の光速で横断するために必要な時間である。

我々の測定では、インターネットははるかに遅い事が明らかになった。一般的なウェブサイトのランディングページのHTMLだけを取り出すのは、(中央値で)C-レイテンシよりも37倍悪くなる。ここで留意すべき点は、これは通常数十キロバイトのデータであり、帯域幅の制約はほとんど無関係である。

大きな減速の源はどこか?

下図は、HTTP接続の膨張の内訳を示している。予想通り、ネットワーク・プロトコル・スタック(DNS、TCPハンドシェイク、TCPスロースタート)は、インターネットのレイテンシ膨張の一因になっている。ただし、インフラ自体はそれよりもはるかに遅いことにも注意してほしい: ping時間は3倍以上膨張している[3]。

Ilker slow`

これらの測定値に照らして、ネットワークの研究コミュニティはインターネットの大きなレイテンシ膨張をどのように削減すべきだろうか? プロトコル・スタックの改善は確かに必要で、業界や大学全体で多くの努力によって対処されてきた。しかし、しばしば無視されるのは、インフラの要素である。

もし、インフラの3倍減速が解消されれば、各往復時間は3倍速くなり、上記全てのプロトコルに影響を及ぼし、プロトコルの修正なしにすぐに約37倍から約10倍にレイテンシを削減する事ができる。

さらに、ゲームのようなアプリケーションにとって、インフラの改善が大きなレイテンシへのネットワークの影響を軽減する唯一の方法である。したがって、最下層のレイテンシを減らす事が光速インターネットの目標を目指すには最重要事項であると確信する。

興味ある読者には測定作業と結果の詳細を理解するため我々の論文を読み、光速インターネットを構築するための進行中の作業について学ぶために我々のウェブサイトに訪れてほしい。

この論説はもともとAPNICのブログに掲載されていたものである。

脚注

[1] ベースラインとして光ファイバの中で高速を利用しても同じ事が言える。

[2] 実際のエンドユーザに関する測定について、我々の論文を参照してほしい。一般に、これらのデータセットの結果は、より大きなレイテンシ膨張を示した。

[3] これらの結果は、ジオローケション・エラー、転送サイズ、クライアントとサーバの距離、輻輳など様々な要因に対してロバスト(robust)である。詳細は論文を参照してほしい。

Hacker News