6/13/2017

Appleのシリコンと機械学習

ジャン・ルイ・ガゼーのブログより

先週のWWDCで、Appleはいつになく多くのハードウェアとソフトウェアを発表した。今日は、Appleのシリコン設計の強みと現時点で公開された拡張現実(AR)と機械学習(ML)アプリケーション開発ツールとの間の潜在的な繋がりを考察したいと思う。

Appleが2013年9月に64ビットのA7プロセッサを発表した際、彼らは業界を驚かせた。長い伝統を持つSand Hill Roadのベンチャー企業にいる元インテルの紳士によれば、強大なx86メーカの競合分析グループは、Appleが64ビットチップを作っていると考えていなかった。

2013年9月のMonday Noteでは64ビットというタイトルについて取り上げた。どうってことはない。あなたはそれを必要としていない。そして、我々は6ヶ月以内にそれを持ち、強豪他社やインテルのステノグラファーは当初新しいチップを却下した。彼らはショックを受けていた: Appleは強力なモバイルチップのレースの先頭に急ぐばかりでなく、ウォーレン・バフェットが"広い堀(wide moat)"として呼ぶものを構築するためにハードウェアとソフトウェアの連結コントロールを利用した。

"昔は、城はその周りを囲む堀によって保護されていた。広い堀は敵が近づくことを非常に難しくしたため、堀は広いほど城の防御は容易になった。"

業界は、最高のシリコン設計チームではないにしろ、Appleは最高のアイデアを持っているという考えを受け入れるようになった。同社は、Qualcommのコア通信チップ事業のエンジニアリング組織を統括していたEsin Terziogluを雇った。スマートフォンとタブレットはハードウェアとソフトウェアを一緒に64ビットの世界に移行することで、Appleは老朽化したウィンテル支配と同じような難攻不落の、Googleの優れた検索と同じような支配的な堀を建設した。

私は、拡張現実(AR)、マシンビジョン(MV)、そしてより一般的な機械学習(ML)の分野で、今度は別の堀が建設されるのを見るかもしれないと思う。

先週のWWDCで、Appleは開発者がアプリケーションに拡張現実を組み込むためのプログラミング・フレームワークであるARKit(ビデオはこちら)を紹介した。デモ(ビデオに1分ほど)は注目を引いた。子供の寝室が仮想絵本に変わったり、イケアのアプリを使用すると物理的なリビングルームに仮想家具を置くことができる。

多くの観測筋が指摘するように、AppleはAR搭載可能なデバイスで最大のインストールベースを作り上げた。iPhoneやiPadよりも多くのAndroidデバイスが存在するが、Androidソフトウェアはハードウェアに結合していない。大規模なAndroidの城を守っている壁は壊れている。もちろん、Apple最新のOSが動作するAndroidスマートフォンが7%で、iOS 10が動作するiPhoneは86%なのと比較すると、この上なく嬉しい筈だ。

Appleは"学習済みモデル (trained models)"をサードパーティのアプリケーションに結合するアプリケーション・フレームワークであるCoreMLを紹介した。ARKitと違って、CoreMLのデモは楽しいものではなかった。CoreMLの実装は、ARよりも"どこにでも"あり同定できないだろう。アーキテクチャ的には、CoreMLは洗練されたマシンビジョンと自然言語処理アプリの基盤である。

Apple mv npl

敬意: Apple開発者マニュアル

我々が知る限り、これは最近のiPhoneやiPadのAxプロセッサ上で実行される。しかし、最近のブルームバーグの根拠のない噂は興味深い話を喚起する。それは、Appleはデバイス上で動くAI専用チップを開発しているということだ。

メイン・プロセッサの脇で動作し、特定の命令専用の補助チップはほぼ常に存在している。実際はFPU(浮動小数点プロセッサ)で始まった。主な科学技術的な用途のための高精度浮動小数点演算はメインCPUから非常に多く計算パワーを必要とし、全ての動きを鈍くする。このような命令は特別な補助FPUにオフロードされた。

後で、グラフィック処理、シミュレーション、ゲームが求める処理に専念するグラフィック処理ユニットであるGPUが登場した。グラフィックを大量に使用するアプリの普及や、応答への要求、遅れの無い相互作用の必要性から、GPUはPC、タブレット、スマートフォンのどこにでも存在する。Nvidiaなどの企業は、高性能GPUの必要な範囲を広げてその名を広めた。

これらは印象的なマシンである。汎用CPUの複雑な論理演算に必要なロジック(トランジスタ)を除いて、GPUハードウェア資源は可能な限り高速に実行される限られた一連のタスク専用である。心地よさの無いトラックを考えてみると、どんどん速くなっているが、毎日の道や街で使うには適していない。

そのようなGPUのパフォーマンスは、いくつかの金融機関が何百ものGPUを搭載したマシンで複雑な予測モデルをほぼリアルタイムで実行し、想定される商取引の長所を知らせる。

同様の考えは、複雑な畳み込みニューラル・ネットワークや関連するML/AI計算を実行する必要性から生じた。これにより、GoogleはTensorFlowアルゴリズムをうまく実行するためにTPU(Tensor Processing Unit)を設計した。

専用AIチップの話に戻る: それはいくつかのクリックベイトの間違いが混ざった不気味で正確な予測の記録を持つ情報源(ブルームバーグ)から来ている興味をそそる話である。

少し憶測の話にふけよう。

Appleニューラル・エンジン(ANE)と仮称されているこの仮説のチップは、アラン・ケイの勅令によるところの「ソフトウェアについて真剣に考えている人は、自分たちのハードウェアを作るべきだ」というAppleのソフトウェア設計の伝統とよく一致している。

AppleのARとMLの発表と推定されるANEチップと組み合わせ、我々はAppleの文化に非常によく似た統一した全体を持ち、既に目にしているシリコン・マッスルが、その構造的な競争上の優位性、会社の堀をさらに強めるパッケージとなる。

興味をそそる一連の考えではあるが、「もしそうなれば素晴らしいので、それはうまくいく」の筋の中にあり、危険な可能性もある。形だけでも用心すべきか、私はそれはいくつかの形で現実になる可能性は五分五分以上はあると思う。さもなければ、Monday Notesの購読料を返そう。