4/02/2017

議会によるFCCのプライバシー保護廃止

シュナイアーのブログより。

あなたが毎日訪れている全てのウェブサイトを考えてみて欲しい。タイムワーナ、AT&T、ベライゾンのような企業があなたの閲覧履歴を全て収集し、最高入札者に販売すると考えてみて欲しい。議会が勝手にするなら、おそらくそれは起こるだろう。

今週、国会議員がインターネット・サービス・プロバイダが自身の利益のためにあなたのプライバシーを侵害することを許可する投票を行った。彼らはあなたのプライバシーを守る規則を廃止することに投票しただけでなく、連邦通信委員会(FCC)があなたのプライバシーをオンラインで保護するための他の規則を制定することを違法にしようとしている

これが大きな反発を招かないよう、どのくらい我々は営利企業に技術的未来を形作るためのやる気を奪われてしまうか、我々にそれを可能にしているかを例示している。

これについて多くの心配する理由がある。インターネット・サービス・プロバイダはインターネットの接続をコントロールしているため、あなたがインターネット上でしてきたことすべてを見ることが可能である。検索エンジンやソーシャル・ネットワーク・プラットフォーム、あるいは新しいサイトと違って、あなたは簡単に競合先に切り替えられない。そして、この市場には競争がほとんどない。あなたが米国内で2つの高速プロバイダ間で選択肢を持つなら、ラッキーだと考えて欲しい。

通信会社は、あなたがやっている全てのことを盗聴するため、この新しく与えられた力で何ができるだろうか? もちろん、彼らはマーケターにあなたのデータを販売できる。そして、犯罪者や外国企業がそれを買い集めることも避けられない。しかも、彼らはゾッとする事を行うことができる。

彼らはあなたのトラフィックを探り、自身の広告を挿入できる。彼らは盗聴をやり易くするために暗号化を取り除くシステムを導入できる。彼らはあなたの検索結果を他のサイトにリダイレクトできる。彼らはあなたのコンピュータや携帯上のソフトウェアに監視ソフトウェアをインストールできる。ここに挙げていることは仮説でもなんでもない。

これらはインターネット・サービス・プロバイダがこれまでに行ってきた全てで、FCCがそもそもプライバシーを保護しようとした理由である。そして今、彼らはあなたの認識や同意なしに、秘密のうちにこれらの事すべてを行うことができるだろう。もちろん、世界中の政府はこれらの力にアクセスできるだろう。そして、全てのデータが犯罪あるいは他の政府のいずれかによってハッキングの危険性があるだろう。

通信会社は、他のインターネット・プレイヤーが既に「ゾッとする(creepy)」という単語を使わないが、これらのゾッとする力を既に持っていると主張している。なぜ、彼らは持つべきではないのか? それが論点である。

監視は既にインターネットのビジネスモデルであり、文字通り何百もの企業があなたの関心と自分たちの利益のために、あなたのインターネットの行動を偵察している。

あなたのメールプロバイダは、あなたが家族、友人、同僚に書いたもの全てを既に知っている。Googleは我々が検索したもので、我々の望み、恐れ、関心を既に知っている。

あなたの携帯電話プロバイダは、あなたの住んでいる場所、勤務先、夜に何時に寝ているか、朝何時に起きるのか、そして、全ての人がスマートフォンを持っているので、あなたと一緒に時間を過ごす人は誰か、一緒に寝る人は誰かを前々から追跡している。

そして、これらの企業がその力で行ういくつかは、あまりゾッとするものではない。Facebookはあなたのニュースフィードに表示されているものを変更することで、あなたの気分を操る実験を行なっている。ウーバーはワン・ナイト・スタンドを識別するために乗車データを利用した。ソニーでさえ、音楽ファイルがコピーされたものかを検出しようとユーザのコンピュータにスパイウェアをインストールした

利益のためにスパイする事を除けば、企業は他の目的のためにスパイすることができる。ウーバーは既にジャーナリストを脅すために収集したデータの利用を検討している。インターネット・サービス・プロバイダが収集したデータを政治家、メディア、ライバルに対抗するために利用する事を考えてみて欲しい。

もちろん、通信会社は監視資本主義のピースを求めている。収入の減収、広告ブロッカーの利用増大クリック詐欺の増加にも関わらず、我々のプライバシを侵害することは、特に秘密裏に行われる限り、まだ利益のあるビジネスである。

より大きな疑問は: なぜ、営利企業が利益を最大限にする方法で、そして自身の関心に反する我々の技術的未来を作っていく事を許可するのだろうか?

市場がうまく働くと、様々な企業が価格と機能面で競争し、社会は共同でそれらを購入する事によってより良い製品を作っていく価値がある。競争がないと、あるいはライバル企業が特定の機能面で競争する選択にならない場合は、このメカニズムが失敗する。ユーザがライバル企業に切り替えることができないと失敗する。企業が何か秘密を残していると失敗する。

GoogleやFacebookのようなサービスプロバイダとは違い、通信会社は政府の関与と規制を必要とするインフラである。インターネット・サービス・プロバイダによる監視範囲を消費者が知ることは現実的には不可能で、プロバイダを切り替えることの難しさと合わせて考えると、監視されるべきかどうかを決めるのはテレコムの巨人ではなく、消費者でなければならない。この新しい法案は、間違いであり有害である方に逆転する。

今日の技術は歴史の中で他のどの時期よりも速く社会の構造を変えている。我々はプライバシだけでなく、自由、公平、権利の問題に取り組む必要があるという大きな問題を持っている。アルゴリズムは治安維持、健康管理に関する決定を行なっている。

ドライバーのいない車は交通や安全に関して決定を行う。戦争はますます遠隔、自律的に戦うようになっている。検閲は世界的に増加している。プロパガンダはこれまで以上に効率的に広まっている。これらの問題は解決していない。何かがあれば、モノのインターネットや我々の生活のあらゆる側面をコンピュータすることでそれを悪化させるだろう。

今日の政治情勢では、議会が我々の利益のためにこれらのことを法制化することは不可能に思える。今すぐ、FTCやFCCのような規制当局は凶暴な企業の力に対し、我々のプライバシとセキュリティを保護する一番の期待である。議会がその力を縮小することに決めた事は、我々にとてつもない危険を残すだろう。

この法案について何かをするのは遅すぎる。トランプは確実にそれに署名する。しかし、我々はプライバシとセキュリティを縮小する将来の法案に注意する必要がある。

この投稿は既にガーディアンに掲載されている。

追記: 元FCC委員のトム・ウィーラーは、この件に関して素晴らしい論説を書いた。そしてこれが平均的なインターネットユーザにとってこれが何を意味するのかを解説した小論である。