1/01/2017

フレッド・ウィルソンの2016年の振り返り

フレッド・ウィルソンの毎年恒例の予測の振り返り。今日(現地は12月31日)振り返りを掲載、明日(現地1月1日)今年の予想を掲載する。

  • 私は、AR/VRやウェアラブルは2016年失望するだろうと考えた。そうだった。私の友人Sunilが指摘するように、2016年のAR/VR分野で最大のものはPokemon Goだった:
    安価に普及しているハードウェアプラットフォーム(スマートフォン)上に簡単に作られたコンテンツ(アプリ)が、高価なハードウェア向けに作られた洗練された高解像度のコンテンツ(VRヘッドセットのコンテンツ)をやっつけてしまった。我々は、メインフレームとMac、インターネット対ISO、VHS対ベータマックス、Android対iPhoneのようなかつての教訓を再び学んだ。
    そして、Fitbitは手首に付けたコンピュータでやりたい重要な事が健康を維持するのを手助けする事だったことを証明した。それにも関わらず、Fitbitの株価は過去最低に近い形で今年を終えた。Pebbleは経済活動が行き詰まってFitbitに身売りした。そして、AppleのWatchは主流の2バージョンをロードマップから消さなかった。

  • 2016年にはビッグフォー(Apple、Google、Facebook、Amazon)のうち一社が低迷するだろうと考えた。2016年は、全てが好ましい株価成績を生み出した。2016年は大きな変化が見られなかった。しかし、Appleは確かに低迷が見られた。彼らはもはや誰もが使いたいと思うノートPCを作ることはできない。新しいiPhoneが出荷されても、もはや誰もが手に入れようとしなくなった。iPadは下落傾向の製品である。Watchは大失敗である。そして、近頃MicrosoftはAppleよりも素晴らしいコンピュータを作っている(また、オペレーティングシステムも)。私の基準で素晴らしい年だったGoogle、Amazon、Facebookに批判できないだろう。

  • 私はFAAの規制が商用ドローン業界にとって朗報になると予測した。それは正しかった。

  • 私はFacebookの中でのパブリッシングは2016年のハイプロファイル出版社にとってうまくいかないだろうと予測した。そのような事態は見られなかった。しかし、パブリッシングプラットフォームとしてのFacebookの見苦しい否定的側面が、大統領選に影響を与えた(あるいは与えていないかもしれない)フェイクニュース危機の形で明らかになった。

  • 直接Netflixの競争相手にHBOをスピンアウトする代わりに、タイムワーナーはAT&Tに自分自身を身売りした。これにより、AT&TはComcastとVerizonの「コンテンツ企業になるキャリア」の仲間に加わることができる。これらの巨大キャリアを経営する幹部たちは、通信インフラに投資し続けるよりも、キャリアビジネスの膨大な利益を利用して、コンテンツを蓄積する方が良いと考えているように見える。正直なところ、私は通信インフラに投資したくなる。

  • Bitcoinは2016年にキラーアプリは登場しなかった。しかし、トレーダ/投機家のお気に入りを見付け、破壊的に走った年は終わり、あと少しで1000ドル/BTCレベルを破るところまで行った。おそらく、Bitcoinのキラーアプリはその価値や価値の蓄積である。そうすれば、金(gold)とデジタル的に等価となり、デジタル資産の準備通貨になる可能性がある。そして、私はそれがBitcoinで行ったことだと考える。そして、それについてまずい点は何もない。

  • Slackは2016年は良い年だった。エンタープライズの主要な通信ツールとしての地位を固めた(もちろんメール以外で)。幹部の中で混乱がかなりあったため、成長の痛みが伴った。しかし、Slackはここにとどまると思うし、Microsoftのチーム製品などとの競争激化に持ちこたえられると思う。

  • ドナルド・トランプが共和党候補になり、テック業界(ピータ・ティールと数人の熱心な人々を除く)は、彼に対して政治的に結集した。それは問題にならなかった。彼はそのツール(主にTwitterやFacebook)を見事に使ってテック業界の支援なしで大統領選を勝利した。

  • 私は「マークダウン・マニア(値下げマニア)」がテック業界に打撃を与え、従業員はストックオプションの価値が沈んでいくのを目の当たりにし、新興企業の足元が冷たくなり始めるだろうと予測した。2016年、これは実際には大々的には何も起きなかった。その一部や従業員はどのように彼らがダウンラウンドやリキャップに痛い目にあう可能性があるか確実により敏感になっている。しかし、テック業界はストックオプションの改定、オプションプランのリロード、RSU(制限付き株式)への移行、など、多くの手法を使ってこれを軽減している。真実は全体から見ると、新興企業、ベンチャーキャピタル、テック成長企業にとって2016年は非常に良い年となった。

ここまでが2016の予測の概要報告である。私の予測は50%の的中率だった。大したことはないが、昨年と同じくらいでひどくはない。

重要で話題にする価値がある2016年に起こった他の話題は次の通りである:

  • サイバー戦争の時代が近付いている。我々は何年も静かに戦っていたのかも知れない。しかし、我々は今や黙って戦っていない。我々はオープンに徹底的に戦っている。国民はこの分野で実際に何が起こっているのか、多くの人がまだよく分かっていないと私は感じている。我々はロシアが大統領選とそれ以後に何をやったか知っている。しかし、米国はロシアに何をしているのだろうか? 私は同じことか、それ以上のことを当然やっていると思う。敵があなたの城の鍵を持っているなら、敵の鍵を持った方が身のためだ。そして、ロシア人がシステムにハッキングしているのと同じくらい、米国にも素晴らしいハッカーがいる。私はそれについて非常に確信している。そして、中国人、イスラエル人、インド人、イギリス人、ドイツ人、フランス人、日本人なども同様である。これは核の時代が戻ってきたようなものと感じる。両者が同じツールを使っている限りは、相互拡張破壊(MAD)が抑止力となる。

  • テック業界はもはや花形産業ではない。一方で、検索、ソーシャルメディア、eコマース、オンライン広告、モバイルオペレーティングシステムでは、独占、複占、あるいはほぼそれに近い形で極めて強力になってきている。また一方で、他の全ての巨大産業は可能な悪い振る舞いの類に影響を受けやすいことが証明されている。今、去っていく大統領が見せたテック業界好きを共有しない次期大統領がいる。48時間で、エディ・マーフィーが鏡にショットグラスを投げたり、町に新しい保安官がいることをレッドネックに説明するシーンを思い起こさせる。だが今回は、テック業界がレッドネックである。

  • GoogleとFacebookはオンライン広告市場の約75%をコントロールしており、2016年での成長の大部分を占めている:
    Jasonkinttweet

  • 人工知能が毎日の生活の中に組み込まれている。話すことができるホームスピーカシステムであったり、我々が出掛けたり購入することを既に知っているソーシャルネットワークであったり、自動的に駐車や高速道路の車線変更をする車であったりと、AIは我々が自分自身でやらなけばならなかった仕事を引き受けるようになっている。我々はAIの時代にいる。来たるべき何かではない。既にここにある。2014年あるいは2015年には来ていたのかも知れないが、私に言わせれば、2016年は生活の主流に登場した年となるだろう。それはエキサイティングでもあり、恐ろしいことでもある。我々は次の30年後、50年後にどこに行くのかという様々な疑問を投げ掛けている。あなたが20代であれば、AIはあなたの生涯を決めるだろう。

以上が2016年の私の概要報告である。私は全ての人が新しい年の幸せと健康を願って、明日は過去ではなく未来について話をしようと思う。

新年の決意を必要としているなら、私は、2段階認証がいつでも利用できるよう最高に安全なパスワードとそれらを管理する何がしかのツールに移行すること、できる限りオンラインの多くの活動を暗号化し、公にできないようなことをオンラインで言ったり、やったりしないことをお勧めする。

明けましておめでとう!