11/05/2016

トランジットの死

APNICのブログから、ジェフ・ヒューストンによるプロバイダのトランジットサービスはもう終わりかもという話。

最近のNANOGミーティングでのこと、いくつかのプレゼンテーションはどのようにISPスペースやISPの運用に関連する問題に目を向けているのか、データセンター環境から判断するのはいくつあるか、私は考えた。

我々がお互いに話した話題が参考になるとすれば、それは確実にデータセンターの設計やコンテンツ配信ネットワークの運用によって今日支配されているように見られる環境の事である。そして、ISPの機能、特にトランジットISPの機能が衰えているように見える。もはやコンテンツにユーザに連れて行くことないが、ユーザにコンテンツを連れて行くことはある。これはインターネットのユーザにとってトランジットの役割が終わっていることを意味するのだろうか? このことについてもう少し検討してみよう。

インターネットは何万もの個別のネットワークからできており、互いに特定の役割を演じている。もしも、インターネットのルーティングシステムが正常であれば、55,400の個別のネットワーク(あるいはルーティングシステムの専門用語で自律システム)が存在する。

これらのネットワークのほとんどがネットワークの外縁に存在し、他のネットワークにトランジットサービスを明らか提供できない。現在のところ、そのようなネットワークは47,700存在する。残りの7,700ネットワークはわずかに異なる能力(容量)を持って運用している。インターネットに一連のアドレスをアナウンスするのと同時に、他のネットワークの情報も運んでいる。別の言い方をすると、トランジットプロバイダの役割を運営していると思われる。

過去において、なぜこの区別が重要だったのか? "トランジット"について何がそんなに特別なのだろうか?

問題の大部分はプロバイダ間の資金調達に縛られていた点である。複数のプロバイダが顧客にサービス提供に関わる多くの活動の中で、顧客に提供されたサービスへのインプットのために他のプロバイダを補償するために顧客の支払いを受け取るプロバイダをよく見かける。

同じくらい論理的なら(As logical as that sounds)、インターネットはそのような取り決めをすぐに認めなかった。何が「サービス」コンポーネントかの明確なモデルは存在しないし、プロバイダ間の金銭的な解決形態を支える課金サービスを行う方法に関する一般的な協定も存在しない。

全体的には、インターネットはそのような取り決めの手間を省き、相互接続の形式はたった2つの単純なモデルを選択した。相互接続のモデルで、プロバイダは自身を顧客になる他の人にプロバイダとして位置付け、顧客はサービスのためにプロバイダに支払っていた。もう一つのモデルでは、2つのプロバイダが自身をおおよそ同等であると位置づけ、それはお互いにコストを発生させずにトラフィックを交換できる(ピアリング)相互に受託可能な成果に満足している場合である。(図1)

Xtransit fig1

図1 - ISP世界の中のプロバイダ/顧客とピアリング

この環境の中で、場合によってはプロバイダと顧客を区別することは答えにくい質問である。同様に、他のプロバイダとのピアリングがあなたの利益になるかどうか、あるいはあなたの利益に反するかを見極めることは時には難しい課題であった。しかし、ほとんど自明とみられる一つの尺度は、アクセスプロバイダがトラフィックを運ぶためにトランジットプロバイダにお金を支払うことであった。

これらの取り決めの一般的な結論は一連の「Tier (ティア: 層)」で、ティアの中で相互共存するプレイヤーたちは相互接続形態がピアリングの取り決めでもたらされることを普通に理解する。相互接続がTierをまたがる場合、低いティアのネットワークが顧客で、より高いTierの事業体がプロバイダとなる。これらのTierは正式に定義されたわけでもなく、あらかじめ定義された結果でティアに承認されるわけでもない。

多くの点で、この階層モデルは各ISPが基本的にピアされたISPによってTierを定義する交渉過程の結果を表している: 顧客の人たち、そして自身が顧客であった人たち。

Xtransit fig2

図2 - ISP環境の中でのティアリング

この階層の上位にあるものがトランジットサービスの支配的なプロバイダに位置するため、これが頭であると見るのが非常に明らかだ。上位レベルのものはいわゆる「Tier 1 (ティアワン)」ISPである。まとめると、これらのプロバイダはインターネットの非公式の独裁集団を形成していた。

なぜトランジットがそれほど重要な役割なのかについてを理解するため、あなたはトランジットのコストがインターネット設備のコストを完全に支配する世界の隅々を調べる必要がある。10年ほど前のオーストラリアではエンドユーザに渡る全てのデータの75%が、トランジット機能のコストを運ぶオーストラリアのISPによって太平洋を横断して運ばれていた。インターネットアクセスには高い小売原価が掛かるため、データ上限の利用やローカルデータキャッシュを実行する様々な試みが行われている。

トランジットのコストがそれほど支配的ではないマーケットでは、全ての直接と間接の顧客数(別の言い方でマーケットシェアの総計)、インフラアセットの組み合わせでティアの明確な説明で、交渉能力が同じマーケットスペースでは他のISPに対してISPの位置を決定した。しかし、そのようなマーケットでさえ、範囲の大きさに関してアセットの広さを含むインフラアセットの結果、トランジットは重要だった。リージョナルあるいはローカルISPは全国津々浦々運用するISPとピアリングする課題があると気付いている。

しかし、昔は昔、今は今で、インターネットのこのモデルが色々と変わったように見える。インターネットの原型は機能提供で、その役割はクライアントのトラフィックをどこにサーバがあろうともそこへ(から)運ぶ事だった。文脈を無視してテッド・スティーヴンス上院議員の言葉を引用すると、これは輸送志向モデルのインターネットは確かに「series of tubes」だった。サービスはネットワークのエッジに集中し、ネットワークはユーザがむらなくサービスがどこにあろうと接続できる事だった。しかし、区別は機能と性能の間で引かれる必要がある。

そのモデルはユーザはどんなサービスへも接続できる限り、インターネットの中の輸送パスは同じサービスへのアクセスであってもユーザ間で著しく異なった。これはしばしば異常性能に結びつき、コンテンツから遠くに位置するユーザはサービスが遅くなった。例えば、次のスライドはNANOG 68でのFacebookの発表から持ってきたものである(図3)。

Xtransit fig3

図3 - インターネット全域のサービス性能 c. 2011

それらのエリアは静止衛星サービスで賄われており、巡回距離の観点で極めて長いパスを持ち、明らかにユーザとサービス供給ポイントとの間のトラフィック交換されるデータは非常に長い往復時間(RTT)になる。

もちろん、このRTT遅延は一度限りの問題ではない。あなたが広範なDNSトランザクションにあると考えたとしたら、それからTCPハンドシェイク、潜在的には続いてTLSハンドシェイク、次に要求トランザクション、それからTCPスロースタートでのコンテンツの配信、そしてユーザは平均少なくとも3つのRTTのトランザクション遅延を体験し、その倍になることもある。

サーバと0.1秒未満の同じ街にいるユーザが掛かるトランザクションが、まさに同じトランザクションに離れたユーザには最大6秒の距離を掛かるだろう。

これらの遅延はインターネットのルーティングシステムによって起こるまずいパス選択、あるいは疎な基本的接続性のためだけとは限らない。ただ、これらの留意事項は要因ではある。問題の一端は地球の大きさと光の速度いう単純な物理的現実である。

静止衛星にパケットを送って再び地球に戻って来るのに0.3秒掛かる。衛星の遅延の要因は光の速度と地上からの静止軌道にある衛星の距離の組み合わせである。

大きく違うわけではないが、海底ケーブルの方が良い。光ファイバケーブル内の光の速度は光速の2/3で、太平洋の往復時間は現状で160ミリ秒である。

ある意味で、あなたがインターネットにとっての最善のトランジットトポロジを再編成することで実現できるのは、その程度のことである。そして、その後に再び我々を全てまとめるには大陸移動の結果を進んで受け入れない限り、達成されることは何もないだろう!

もしサービスにより良い性能を本当に欲するなら、明らかに次のステップは完全にトランジットをバイパスすることで、ユーザの近くにコンテンツのコピーを移動することである。

そして、これは今日進行中である。この頃、目の当たりにすることは、遠隔のデータセンタに向けユーザトラフィックを運ぶよりも、巨大プロバイダのデータセンタを結ぶために建設中の海底ケーブルプロジェクトである。Googleは2008年に海底ケーブルで所有権の地位を築き始め、今はこれらのケーブルのうち6つを占めている(最新のケーブル建設の発表の抜粋が描かれている(図4))。

Xtransit fig4

図4 - CDNケーブルの発表

テレジオグラフィーの副社長Tim Strongeは、新しいケーブルは今の傾向が継続しているという主張をWIREDにレポートした。

大きなコンテンツプロバイダは巨大で度々、特に自身のデータセンタとの間での予測できないトラフィック要求を持つ。それらのキャパシティ要求はそのようなスケールでは、巨大なルートを買い取るよりも作った方が理にかなっている。自身の海底光ケーブルはいいと判断した時にアップグレードするための柔軟性を、第三者の海底ケーブルオペレータの世話になるよりも与えている。

コンテンツへのアクセス方法へのシフトは、様々なインターネットのトラフィック交換の役割を変化させている。

トラフィック交換の最初の動機はお互いを直接ピアリングできるようにすることで同等のローカルアクセスプロバイダを集めることだった。ローカルトラフィック交換がかなり大きな比率であるならば、トラフィック交換はこの相互接続を実行するためにトランジットプロバイダへの費用の支払いを回避する。その次に、トラフィック交換はローカルな交換機能を持つトランジットプロバイダの役割の比率を交換する真の必要性を満たした。

しかし、トラフィック交換でデータセンタサービスを含むなら、ローカルトラフィック交換は特にユーザトラフィックの増加となり、これはトラフィック交換の関連する重要性が増大したということがトラフィック交換のオペレータはすぐに気付いた。

コンテンツやサービスを推進している別の要因が専用のコンテンツ分散システムの中にあり、悪意のある攻撃の脅威となっている。個々の事業体、特にコアビジネスがオンラインサービスの提供ではない事業体は、サービス不能攻撃に抵抗するための専門知識やインフラの中にかなりの投資をする課題に出会う。

これは高速アクセスというユーザの要求に加えて、攻撃面にサービスの回復力を増すことを望んでいる。そして、多方面の利用人口に近い多くのアクセスポイントにサービスを分散するエニキャストサービス形態を利用するための要求ということを示している。AkamaiやCloudflareのようなコンテンツ分散エンタープライズ(二つ挙げる)がサービス要求にそのような高いレベルで答えているのも不思議ではない。

それでは、コンテンツがデータセンタに移転しているなら、そして、我々はユーザにより近いこれらのデータセンタに分配するなら、ISPトランジットプロバイダはどこを委ねればいいのだろうか?

将来展望は全てバラ色のようには見えない。そして、それが始めの呼び出しかもしれないが、とにかく当面の間はトランジットISPキャリアによって投資される最新の長距離ケーブルのインフラプロジェクトがあると思われる。

多くの成熟したインターネットコンシューママーケットでは、これ以上大量のボリュームでリモートサービスにアクセスすることをエンドユーザは求めていない状態である。代わりに、コンテンツプロバイダは主流のコンテンツをユーザにより近い場所に移転し、コンテンツ分散システムはインターネットの長距離インフラのさらなる拡充に資金を出す主役となっている。

ユーザにとって、それは高い性能と、特に配送コスト要素を考えればより低いデータコストの可能性を意味する。長距離トランジットインフラへの要求はまだあるが、今は要求の大部分を運んでいるのはコンテンツプロバイダである。そして、残りのユーザ主導のトランジット要素は主流のデータサービスからかなり離れた難解で(esoteric)ニッチなアクティビティになっている。

インターネット全体のアーキテクチャも結果として変化している。90年代初期のインターネットのフラットメッシュ、ピアツーピアやエニーツーエニーから、大量のトラフィックがクライアントとサーバ間で動いており、我々はインターネットの大部分をクライアント/サーバアーキテクチャに再構築している。そして、クライアントツークライアントのトラフィックはほとんど見られなくなっている。

NATはサーバへの接続を始めない限り、クライアントを効果的に隠蔽するのを一緒に助けていた。IPv4アドレスの枯渇は我々が考えていた破滅的な災難とならなかったのはおそらくもっぱらNATが原因である。新しいアドレスを供給できる時まで、我々は大部分はネットワーク接続のピアツーピアモデルから遠ざかり低下していた。そして、アクセスネットワークでのNATへの依存が増大するモデルは、クライアント/サーバのアクセスモデルと完全に全体で互換性のあるものに修正された。我々がNATの広範囲な利用に合わせるまでに、クライアント/サーバネットワークのサービスモデルはしっかりと全て整えていた。そして、お互いに二つの試みは補完しあった。

各クライアントをローカルデータセンタの集合が特徴のサービス"コーン"に効率的に囲い入れることによって、クライアント/サーバモデルがより小さな部分にさらに入って来ている可能性がある(図5)。

Xtransit fig5

図5 - CDN "サービスコーン"

インターネットサービスは、Google、Facebook、Amazon、Akamai、Microsoft、Apple、Netflix、Cloudflareを含む少数のCDNプロバイダによって真に定義されている。そして、全ての他のサービスプロバイダは基本的にこれらの巨大コンテンツクラウドの中にサービスをプッシュしている。次に、一体なぜリモートデータセンタにクライアントトラフィックをプッシュする必要があるか? 一体長距離トランジットにとって補完的ニーズに何があるのか? トランジットサービスプロバイダに将来はあるのか?

いま、マーク・トウェインの引用を適用すると、これら全てがとても早過ぎるのかも知れない。 トランジットプロバイダの死の報告は非常に大げさと言えるかも知れない。そして、おそらく今は正しいだろう。しかし、インターネットに完全接続を維持する規制する法令はないこと、そしてインターネットの特定のサービスモデルを義務付ける規制する負担もないことを考えておくべきだろう。

民間投資や民間事業の世界の中で、彼らが解決すると選択した問題を解決すること、彼らの利点に働く方法でそれらを解決することをプロバイダに見るのは珍しくはない。そして、同時に彼らの目に負担があることを無視し、時間とエネルギは無限に与えられ、それらに商業利益がないことを無視する。そして、ユニバーサルサービスやユニバーサル接続では、電話システム時代の規制のある古い世界で(そして、そのシステムの基礎であった明白な社会契約で)意義があったのかも知れない。そのような付き合いの考えはインターネットでは必須ではない。もし、ユーザが快くその対価を支払う意思があることを評価をしないなら、サービスプロバイダはそれを提供するインセンティブに制限される!

もし、トランジットが少ししか切望されず、少ししかサービスが使われないなら、我々はトランジットを全く避けるインターネットアーキテクチャを考えることができるだろうか?

インターネットはローカルデータ配送ポイントをぶら下げる一連の顧客"コーン"に発展するとみなすのが確かにありえそうだ。そして、我々はデータセンタ間でデータの移動や同期をまとめるために様々なメカニズムを全体に利用するという選択があるかも知れない。単一のインターネットというより、我々が今日持つクライアント/サービス環境のように見ている分散型フレームワークを見ており、ある程度の各々のサービス"クラウド"間での暗黙の区分けを持つ。確かに、それは 現在の状況を理解し、この図の状態になる推定のかなり広い度合いで動いている。それでも、可能性の範囲を超えることはない。

この場合、サービスコーンのコレクションの中で、グローバルに一貫性のあるアドレス空間に残存価値があるのだろうか? もし、全てのトラフィックの流れが各サービスコーンの中で位置するために制約を受けるなら、残りのアドレッシングの要求事項は、ネットワークワイド("ネットワークワイド"がそのようなシステムを意味するもの何でも全て)な一意性に具体的な要求なしにコーンの範囲の中で終点を一意的に識別する要求があるとは言い難い。もし、誰かがIETFがRSIP (Realm-Specific IP, RFC 3012)に取り組んでいたことをまだ覚えているなら、これはおそらく私がそのような考えに注意を向けているものである。

しかし、仮にそうであったとしても、それは依然として今から数年後かも知れない未来である。

今日、私ちが見ているものは、配送とコンテンツの間の緊張を続けることのさらなる変更である。我々は配送に主に投資するモデルが衰退しているように見え、そのためユーザはコンテンツバンカーのドアにトランスポートされている。

その領域で、我々は前の配送機能の大部分をバイパスし、ユーザに向かうコンテンツのコピーをプッシュするモデルを使っている。言い換えると、今はコンテンツが支配力があり、キャリッジフォークのように見える。特に長距離トランジット配送は、それらのサービスの知覚価値が著しく低下しているように見える。

しかし、このモデルはインターネットの一貫性についての興味深い疑問も浮かび上がらせている。全てのサービスが同じとは限らず、全てのコンテンツが同じように配送されるとは限らない。CDNはそのサーバを示すのに利用するデフォルト言語についてあれこれ推測するのもよくわかる、また、コンテンツの地域ライセンスを遵守するのはもっともである。例えば、Netflixは世界の様々な場所で異なるカタログを用意している。それはどこでも同じサービスにはなっていない。

より一般的なレベルでは、我々はサービス配送の専門化の結果としてインターネットのアーキテクチャでの区分の度合いあるいは断片化に気付いている。ほとんど自給自足のサービスコーンの中にセグメントされたそのような環境下では、全てのサービスの配送点にロードされる全ての可能なサービスを見るマーケットのドライバは何なのだろうか? 誰がそのようなオーバープロビジョニングにお金を支払うのだろうか? そして、"ユニバーサル"コンテンツのこのモデルを支援する負担を誰もしないなら、どこまでインターネットはあなたがいる場所によって異なるのだろうか? 全てのドメイン名は一貫して利用可能で、このセグメント化された環境で一貫して解決するだろうか?

明らかに、各々の地方で配送されるローカルサービスをカスタマイズするそのような検討は、インターネットフラグメンテーションのパスを通ってとても素早く進む、そして多分私はこの時点でやめて、トランジットの終焉の可能性に副作用やコンテンツネットワークの隆盛というオープンクエスチョンとしてこれらを放っておくだろう。

どのくらいの期間、サービス提供のコンテンツ配信中心が続くかは誰にも分からない。これは我々が通過する単なる一段階に過ぎないことはあり得るし、現在のデータセンタ中心の考えは我々が落ち着く場所というより我々が今日いる場所である。だからだろう、今すぐにはユニバーサルな接続性や網羅的なトランジットサービスの従来の考え方を完全に見捨てる時ではない気がする。とはいえ、今日のインターネットは異なる方向性にやや大きく足を踏み入れているようにちょっとだけ見える!

Hacker News